今日も佐助は未明にやって来た。 飼育係は「佐助、佐助ちゃん」と呼びながら餌を与えている。 何度も来るうち名前を覚えてくれるかしらね。 チーズの切れ端を手で与えると、そっとくわえて、横を向いて、「誰にもあげない」と言う様子で食べる。 良く見れば本当に小さくて可愛いこだ。 同じ黄テンでも、クルミ一家は顔が黒っぽいし、ワタル一家は白っぽい。 クルミ系は名前を木の実に、ワタル系は忍者の名前にすることにした。 この辺りはクルミの縄張りだから、佐助達、白顔一族は肩身の狭い思いをしているのかな。 そういえばこの頃大人になったワタルちゃんを見かけない。
何時、誰が来てもいいように、餌台にたっぷりパンやドーナッツを置いて待っていた。 誰も来ない。 そのうち明るくなって、フルフルが来た。 餌を独り占めして嬉しそうだ。
鳥達もリスも皆が朝ごはんをたべて一段落した頃、外に出た。 小さなフキノトウがおずおずと顔を出している。 クリスマスローズのつぼみ位の大きさだ。 お味噌汁に散らそうと思ったが、余りにも可憐なので止めた。